先取特権とは

先取特権とは、法律に定められた一定の債権を有する者が、債務者の財産について、他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受けることができる権利をいいます。

先取特権によって担保される債権(被担保債権)及び担保の目的物は、法律で定められています。

債権回収において特に重要な先取特権は、次に述べる「動産売買の先取特権」です。

動産売買の先取特権

動産(商品等)の売主は、売買代金債権(売掛債権)について、当該動産の上に先取特権を有します。

これを「動産売買の先取特権」といい、次のような効力があります。

<当該動産が買主のところにある場合>

売主は、買主が売買代金を支払わないときは、当該動産を競売して、その代金から優先的に弁済を受けることができます。

<当該動産が転売されて第三者に引き渡されている場合>

売主は、当該動産を競売することはできませんが、その代わりに、買主の第三者に対する売買代金債権を差し押さえて、優先的に弁済を受けることができます。

これを動産売買の先取特権に基づく「物上代位」といいます。

<買主が破産した場合>

買主が破産した場合も、売主は、動産売買の先取特権又はこれに基づく物上代位を実行することができます。

ポイント

動産の売主は、法律上当然に先取特権を有している可能性があります。

動産売買の先取特権は、意外と強力な担保です。

※先取特権の被担保債権は、動産の売買代金債権に限られません。