任意的回収が期待できない場合は、強制的な方法による回収(強制的回収)を行うことになります。

強制的回収の方法として、通常、担保を有している場合は「担保の実行」を行い、担保を有していない場合は「強制執行」を行います。

担保の実行

担保を有している場合は、その担保を実行することにより、債権を強制的に回収します。

債権の担保について

強制執行

強制執行とは、国家機関が関与して、債権者の給付請求権の内容を強制的に実現する制度をいいます。

※給付請求権とは、債務者の一定の行為(これを「給付」といいます)を目的とする請求権をいいます(金銭の支払も「給付」に含まれます)。

担保を有していない場合(又は担保では回収できない部分)は、強制執行を行うことにより、債権を強制的に回収します。

強制執行は、通常、次の手順で行います。

・強制執行の対象となる財産を探す

・必要があれば仮差押え(保全処分)を行う

・債務名義等を取得する

・強制執行を実行する

強制執行の対象となる財産を探す

まず、強制執行の対象となる財産、すなわち「債務者の有する財産で、換価可能なもの」を探します(通常は、不動産、債権、価値の高い動産等が対象となります)。

強制執行の対象となる財産が全くなければ、強制執行は断念せざるを得ません(強制執行によっても「無い袖」を振らせることはできません)。

必要があれば仮差押え(保全処分)を行う

仮差押えとは、簡単にいうと、強制執行の対象となる財産の現状を維持して、将来の強制執行を確保する制度です。

債務者に対して訴訟を提起した場合、債務者が強制執行を免れようとして、訴訟中(債務名義取得前)に財産の隠匿等をすることがあります。
そこで、財産の隠匿等により強制執行が不可能又は著しく困難となるおそれがあるときは、強制執行の対象となる財産に対して仮差押えを行って、財産の現状を維持する必要があります。

仮差押えを行うためには、裁判所に申立てをして、仮差押命令を発令してもらう必要があります。
その際、債権者は、担保(保証金)を提供する必要があります。
(この担保は、仮差押えが不当で、債務者の債権者に対する損害賠償請求権が認められた場合に、同請求権を担保するものです)

債務名義等を取得する

強制執行を行うためには、原則として、「債務名義」「執行文」「債務名義の正本等の送達証明書」という3つの書面が必要です。

このうち、債務名義を取得すれば、その他の2つの書面は比較的容易に取得できます(例外があります)。

債務名義について

強制執行を実行する

債務名義等の強制執行に必要な書面が揃ったら、裁判所又は執行官に強制執行の申立てをして、強制執行を実行します。

金銭債権の強制執行は、原則として、次の手順で進行します。

・債務者の財産の差押え

・財産の強制換価

・債権者への金銭の交付又は配当