契約の解除とは、契約がなかった状態に戻すことをいいます。
売買契約を解除することにより、自社(債権者)が取引先(債務者)に納入した商品(自社納入商品)の所有権が自社に復帰します。
※商品の売買契約を解除すると、自社(債権者)の取引先(債務者)に対する代金債権(売掛債権)も消滅します。
この点、注意が必要です(売買契約の解除が、必ずしも自社の有利になるとは限りません)。
解除の方法
売買契約を解除する方法として、「合意解除」「約定解除」「法定解除」の3つの方法があります。
いずれの方法によるにせよ、証拠を確保しておく必要があります。
合意解除
合意解除とは、当事者の合意により契約を解除することをいいます。
自社納入商品の引揚げを行う場合は、合意解除の方法を採ることが多いです。
合意解除をするときは、証拠を確保するために、合意解除書を作成する等してください。
約定解除
売買契約書に「契約解除条項」が設けられているときは、同条項が定める要件を充たしていれば、債権者の一方的意思表示(契約を解除する旨の通知)により契約を解除することができます(これを約定解除といいます)。
約定解除をするときは、証拠を確保するために、「契約を解除する旨の通知」を、配達証明付き内容証明郵便で行う等してください。
法定解除
合意解除や約定解除ができないときでも、法律が定める要件を充たせば、債権者の一方的意思表示により契約を解除することができます(これを法定解除といいます)。
金銭債権の支払遅滞を原因とする法定解除は、原則として、次の手順で行います。
1.支払期限経過後に、相当の期間を定めて支払の催促をする。
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2.それでも支払わないときは、上記相当期間経過後に、契約を解除する旨の通知をする。
ただし、上記1と2を併せて行うことも可能であり、支払の催促の際に、例えば「1週間以内に代金全額を支払って下さい。さもなければ、契約を解除します。」と通知しておけば、改めて契約を解除する旨の通知をしなくても、1週間が経過すれば契約は解除されます。
法定解除をするときは、証拠を確保するために、「支払の催促」及び「契約を解除する旨の通知」(又はこれらを併せたもの)を、配達証明付き内容証明郵便で行う等してください。