<Q>
過失責任の原則とは何ですか?

<A>
過失責任の原則とは、私人は、故意又は過失に基づいて他人に損害を与えた場合にのみ、損害賠償の責任を負うという原則です。

<解説>
民法の基本原理の一つである過失責任の原則とは、私人は、故意又は過失に基づいて他人に損害を与えた場合にのみ、損害賠償責任を負うという原則です。

※私人(しじん)とは、国家という立場を離れ、私的な立場からみた個人や団体をいいます。

近代国家では、国家は私人の自由な活動を保障します。

私人が自由な活動をすれば、他人に損害を与えることもあります。
他人に損害を与えた場合に、理由の如何を問わず損害賠償責任を負うとすると、私人の自由な活動は阻害されてしまいます。

そこで、私人は、自らの行為について注意を払っていれば(=故意も過失もなければ)、他人に損害を与えた場合でも、損害賠償責任を負わないものとして、私人の自由な活動を保障することにしました。
このような思想に基づいて、過失責任の原則が誕生しました。

過失責任の原則は、私人の損害賠償責任を考える上で、最も基本的かつ重要な原則といえます。

※過失責任の原則も絶対的なものではありません。
 民法の個々の条文(ルール)の中にも、過失責任の原則を修正しているものがあります。