<Q>
私的自治の原則とは何ですか?
<A>
私的自治の原則とは、市民社会においては、私人がその意思に基づいて法律関係(権利義務関係)を形成することができるという原則です。
これを義務の観点からみると、私人が義務を負うのは、自らの意思でそれを望んだときだけである(私人は自らの意思に基づいてのみ拘束される)ということになります。
<解説>
民法の基本原理の一つである私的自治の原則とは、市民社会においては、私人がその意思に基づいて法律関係(権利義務関係)を形成することができるという原則です。
※私人(しじん)とは、国家という立場を離れ、私的な立場からみた個人や団体をいいます。
近代国家では、私人は自由・平等であり、国家は私人の自由な経済活動を保障します。
このような思想に基づいて、私人間の法律関係(権利義務関係)は、私人がその意思に基づいて形成すべきであり、国家はできるだけ介入すべきではない、という私的自治の原則が誕生しました。
この私的自治の原則を、義務の観点からみると、私人が義務を負うのは、自らの意思でそれを望んだときだけである(私人は自らの意思に基づいてのみ拘束される)ということになります。
私的自治の原則は、私人間の法律関係を考える上で、最も基本的かつ重要な原則といえます。
※私的自治の原則も絶対的なものではありません。
民法の個々の条文(ルール)の中にも、私的自治の原則を修正しているものがあります。