<Q>
著作物が、著作権法第10条1項で例示されている著作物のうち、どの種類の著作物に該当するかを、厳格に判断する必要はありますか?
<A>
原則として、著作物がどの種類の著作物に該当するかを、厳格に判断する必要はありません。
ただし、例外的に、一定の種類の著作物について、特別な法的効果が定められている場合があり、この場合には、著作物がどの種類の著作物に該当するかを判断する必要があります。
<解説>
著作権法は、著作物を、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています(著作権法第2条1項1号)。
ただ、上記の定義だけでは、何が著作物となるのかが不明確であるため、著作権法は、著作物として、次のものを例示しています(著作権法第10条1項)。
・小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
・音楽の著作物
・舞踊又は無言劇の著作物
・絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
・建築の著作物
・地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
・映画の著作物
・写真の著作物
・プログラムの著作物
とはいえ、複数の種類の複合的性格を有する著作物もあり、かつ、原則として、著作物がどの種類の著作物に該当するかによって法的効果が異なるものでもありません。
したがって、原則として、著作物がどの種類の著作物に該当するかを厳格に判断する必要はありません。
ただし、例外的に、一定の種類の著作物について、特別な法的効果が定められている場合があります。
例えば、映画の著作物については、頒布権(著作権法第26条)が定められています(他の種類の著作物については、頒布権は定められていません)。
そこで、このような特別な法的効果が問題となるときは、著作物がどの種類の著作物に該当するかを判断する必要があります。