<Q>
著作物が、「文芸、学術、美術又は音楽」のうち、どのジャンルに属するかを、厳格に判断する必要はありますか?

<A>
原則として、著作物がどのジャンルに属するかを、厳格に判断する必要はありません。
「文芸、学術、美術又は音楽」という4つのジャンルによって代表される知的・文化的精神活動の所産全般に属するか否かを判断すれば足ります。
ただし、例外的に、一定のジャンルに属する著作物について、特別な法的効果が定められている場合があり、この場合には、著作物がどのジャンルに属するかを判断する必要があります。

<解説>
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法第2条1項1号)。
すなわち、著作物は、「文芸、学術、美術又は音楽」の範囲に属するものである必要があります。

とはいえ、上記4つのジャンルは明確に区別できるものではなく、かつ、原則として、どのジャンルに属するかによって法的効果が異なるものでもありません。
したがって、原則として、著作物がどのジャンルに属するかを厳格に判断する必要はなく、上記4つのジャンルによって代表される知的・文化的精神活動の所産全般に属するか否かを判断すれば足ります。

ただし、例外的に、一定のジャンルに属する著作物について、特別な法的効果が定められている場合があります。
例えば、美術の著作物については、原作品の所有者による展示(著作権法第45条)と公開の美術の著作物の利用(著作権法第46条)に関する特別な法的効果が定められています。
そこで、このような特別な法的効果が問題となるときは、著作物がどのジャンルに属するかを判断する必要があります。