<Q>
契約は、どのような要件を充たすと成立しますか?
<A>
通常の場合、契約は、申込みと承諾という2つの意思表示の合致で成立します。
<解説>
契約とは、当事者の合意(=2つ以上の意思表示の合致)で定める社会生活のルールです。
この契約の成立要件について、簡単な事例を用いて説明します。
(事例)
A氏とB氏(当事者)が契約を成立させようとしています。
1.申込み+承諾→契約成立
通常の場合、契約は、A氏がB氏に意思表示(これを「申込み」といいます)をしたのに対して、B氏が応諾の意思表示(これを「承諾」といいます)をすることにより、成立します。
すなわち、契約は、申込みと承諾という2つの意思表示の合致で成立します。
※契約が成立するのは、上記の場合に限られません。
2.申込み
申込みは、申込みの内容と一致する相手の意思表示(承諾)があれば契約を成立させるという意思表示です。
申込みに対して承諾があれば契約が成立するので、申込みにおいて、契約の主要な内容を特定する必要があります。
例えば、A氏がB氏に「この車を100万円で売る」という意思表示をした場合、これに対して、B氏が「この車を100万円で買う」という意思表示(承諾)をすると、売買契約が成立します。
したがって、A氏の上記意思表示は申込みとなります。
他方、A氏がB氏に「この車を売る」という意思表示をした場合、これに対して、B氏が「この車を買う」という意思表示をしても、代金額(売買契約の主要な内容)が特定していないため、売買契約は成立しません。
したがって、A氏の上記意思表示は申込みとはなりません。
3.承諾
承諾は、申込みに応諾して契約を成立させるためにする、申込みの内容と一致する意思表示です。
承諾の内容は、申込みの内容と一致している必要があります。
申込みの内容に変更を加えて承諾をした場合は、当初の申込みを拒絶するとともに、新たな申込みをしたものとみなされます。
例えば、A氏がB氏に「この車を100万円で売る」という意思表示(申込み)をしたのに対して、B氏が「この車を100万円で買う」という意思表示をした場合、B氏の意思表示は承諾となり、売買契約が成立します。
他方、A氏がB氏に「この車を100万円で売る」という意思表示(申込み)をしたのに対して、B氏が「この車を80万円なら買う」という意思表示をした場合、B氏の意思表示は承諾とはならず(B氏はA氏の申込みを拒絶したことになります)、売買契約は成立しません。
ただし、B氏の「この車を80万円なら買う」という意思表示は、A氏に対する「新たな申込み」とみなされます。
そのため、A氏が改めて「この車を80万円で売る」という意思表示をすれば、このA氏の意思表示が承諾となり、売買契約が成立します。
※契約の成立(申込みと承諾)に関しては、上記以外にも様々なルールがありますが、ここでは省略します。